| スイス連邦 | |
|---|---|
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Schweizerische Eidgenossenschaft(ドイツ語) Confédération suisse(フランス語) Confederazione Svizzera(イタリア語) Confederaziun svizra(ロマンシュ語) Confoederatio Helvetica(ラテン語) | |
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国の標語:Unus pro omnibus, omnes pro uno (ラテン語:一人は皆のために、皆は一人のために) | |
| 国歌:スイスの賛歌 | |
| 公用語 | |
| 首都 | ベルン[1] |
| 最大の都市 | チューリッヒ |
| 政府 | |
| 連邦参事会 | |
| 連邦事務総長 | ヴィクトル・ロッシ(英語版) |
| 全州議会議長 | アンドレア・カローニ(英語版) |
| 国民議会議長 | マヤ・リニカー(英語版) |
| 面積 | |
| 統計 | 41,291km2(132位) |
| 水面積率 | 4% |
| 人口 | |
| 統計(2025年) | 912万4,288[2]人(97位) |
| 人口密度 | 221[2]人/km2 |
| GDP(自国通貨表示) | |
| 合計(2025年) | 8,675億5,700万[3]スイス・フラン |
| GDP(MER) | |
| 合計(2025年) | 1兆435億4,400万[3]ドル(20位) |
| 1人あたり | 11万5,620[3]ドル |
| GDP(PPP) | |
| 合計(2025年) | 9,214億7,800万[3]ドル(38位) |
| 1人あたり | 10万2,096[3]ドル |
| 建国 | |
| 原初同盟締結 | 1291年8月1日 |
| ヴェストファーレン条約(独立の承認) | 1648年10月24日 |
| 連邦憲法制定 | 1848年9月12日 |
| 通貨 | スイス・フラン(CHF) |
| 時間帯 | UTC+1(DST:+2) |
| ISO 3166-1 | CH / CHE |
| ccTLD | .ch |
| 国際電話番号 | 41 |
スイス連邦(スイスれんぽう、独: Schweizerische Eidgenossenschaft、仏: Confédération suisse、伊: Confederazione Svizzera、ロマンシュ語: Confederaziun svizra、ラテン語: Confoederatio Helvetica)は、中央ヨーロッパ及び広義の西ヨーロッパに位置する連邦共和国。首都[1]はベルンで、最大都市はチューリッヒ。通称はスイス。
現在の国名は、建国の起源に当たる1291年の原初同盟を構成した三原州の一つであるシュヴィーツ州に由来する。この地名は、972年に神聖ローマ皇帝のオットー2世がザンクト・ガレン修道院で発行した特許状に「Suittes(スウィッテス)」と記されているのが現存する最古の文献である[15]。当時の公文書で使われていたラテン語の書記慣行に従った形とされる。語源については確定的な結論はなく、依然として未解明である[15]。
日本語では「スイス連邦」で、通称は「スイス」である。フランス語の「Suisse(スュイス)」に由来する[16]。漢字による当て字は「瑞西」で、漢字一字では「瑞」と表記する(スウェーデンは瑞典を当て字とし、漢字一字ではスイスと同じ「瑞」だが、両者を区別する時にはスウェーデンを「典」とする)。歴史的な文脈で、ドイツ語の正式名称を直訳して「スイス誓約同盟」と表記されることがある。また、戦前は「ス井ス」[17]や「スヰス」[18]と表記されることがあった。また、英語では、「Swiss Confederation(スウィス・コンフェデレイション)」で、通称は「Switzerland(スウィツァランド)」である。
スイスでは、4つの公用語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)が憲法で定められているが、硬貨や切手などのように併記する余裕がない場合は、言語的に中立であるラテン語の国名を単独で表記する慣行が存在する[19]。ラテン語名の「Helvetia(ヘルヴェーツィア)」は、現在のスイスからドイツ南部の一帯を指し、紀元前2世紀頃から2世紀頃まで存在したケルト系先住民族ヘルウェティイ族に由来する[20]。
ラテン語は死語であり[21]、現代のスイス人が、「Confoederatio Helvetica」や「Helvetia」をラテン語の音韻で発音することはほとんどない。各言語圏の話者は、母語の音韻規則に従って発音している。ここでは例としてドイツ語の音韻に基づいた発音を記載している。また、定冠詞が存在しないラテン語を除いて、通常は定冠詞が使われる。いずれも女性名詞で、ドイツ語では「die(ディー)」、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語では「la(ラ)」である。
一般的に使用される国名コードのISO 3166-1ではスイスは、ラテン語由来の「CH」または「CHE」である。一方で、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)が定めるIOCコードはフランス語の「Suisse」に由来する「SUI」である。これは、近代オリンピックの創設者であるピエール・ド・クーベルタンがフランス人で、フランス語がIOCの第一公用語のためである[22]。
| 言語 | 表記 | 発音 |
|---|---|---|
| ドイツ語 | Schweizerische Eidgenossenschaft | シュヴァイツェリッシェ・アイトゲノッセンシャフト[23][24] |
| フランス語 | Confédération suisse | コンフェデラシオン・スュイス[25][26] |
| イタリア語 | Confederazione Svizzera | コンフェデラツィオーネ・ズヴィッツェラ[27][28] |
| ロマンシュ語 | Confederaziun svizra | コンフェデラツィウン・ズヴィーツラ[29][30] |
| ラテン語 | Confoederatio Helvetica | コンフォエデラーツィオ・ヘルヴェーティカ[31] |
| 言語 | 表記 | 発音 |
|---|---|---|
| ドイツ語 | Schweiz | シュヴァイツ[32] |
| フランス語 | Suisse | スュイス[33] |
| イタリア語 | Svizzera | ズヴィッツェラ[34] |
| ロマンシュ語 | Svizra | ズヴィーツラ[35] |
| ラテン語 | Helvetia | ヘルヴェーツィア[36] |



現在のスイスの連邦憲法は1999年に採択され、2000年1月1日に発効した。
スイスは、連邦国家であり連邦議会(独: Bundesversammlung、英: Federal Assembly)を最高機関とする議会統治制、つまり立法府が行政府を兼ねる統治形態をとっている。連邦議会は両院制で、直接選挙(比例代表制)で選ばれる200議席の国民議会(独:Nationalrat、英:National Council)と州代表の46議席の全州議会(独:Ständerat、英:Council of States)から構成される二院制である。
立法府を兼ねる連邦政府(内閣)は、連邦議会から選出される7人の連邦参事(ただし閣僚や大臣とは呼ばない)で形成される合議体である。内閣は、ドイツ語圏の諸国と異なり連邦参事会(独:Bundesrat、英:Federal Council)と呼ばれる。7人の連邦参事(7 Bundesraete)が各省を統括し、その中の1人が連邦参事兼任のまま任期1年の連邦大統領となる。連邦議会の議場と連邦政府の各省庁のオフィスはともにベルンの連邦議会議事堂Bundeshaus(連邦院とも訳される)の中にある。大統領の権限は儀礼的なものに限られる。
また、スイスの連邦参事は議会の獲得議席数に応じて自動的に割り振られる。そのため、政党は一定の議席を得ている限り、また意図的に下野しない限り自動的に連立与党の一員となる(比例代表制であるため、1党による単独過半数は過去に例がない)。マジック・フォーミュラーも参照のこと。
国民の政治参加に関して、国民発議(イニシアティヴ)と国民投票(レファレンダム)という、直接民主制の制度が憲法上で認められているのも大きな特徴である。
スイス連邦憲法は、連邦政府に委任すべき事項を規定している。憲法に規定のない事項については州政府が主権をもつ。たとえば参政権の規定は州政府に主権があり、1971年に憲法で婦人参政権が確立したあとも、1990年に至るまでアッペンツェル・アウサーローデン準州では婦人参政権が制限されていた。[125]。
現行のスイス連邦憲法は、1999年4月18日の国民投票で全面改正が可決され、2000年1月1日に施行された[126]。[127]
2編1章(7条から36条)は、基本権(独: Grundrechte)、2章(37条から40条)は、市民権と政治的権利について規定している。基本権とは、憲法または条約によって保障され、人間の活動及び生存に不可欠な要素の保護を目的とし、国籍に関わらず全ての個人に認められる不可譲の権利である[129]。35条(基本権の実現)は、基本権は法体系全体で実現される必要があること、公的任務を担う者は基本権を尊重しその実現に寄与する義務を負うこと、当局は私人間の関係おいても基本権の実現(私人間効力)に配慮する必要があることを規定している[130]。また、36条(基本権の制限の要件)は、法的根拠、公共の利益または第三者の基本権の保護、比例原則及び基本権の核心的内容の不可侵という要件を全て満たす場合にのみ基本権の制限を認めることを規定している[131]。7条から34条及び37条から40条は以下の通りである。
7条: 人間の尊厳、8条: 法の下の平等、9条: 恣意的行為からの保護及び信義誠実の原則、10条: 生命の権利及び個人の自由、11条: 子供及び青少年の保護、12条: 困窮時に支援を受ける権利、13条: 私的領域の保護、14条: 婚姻及び家族を形成する権利、15条: 信仰及び良心の自由、16条: 表現の自由、17条: 報道の自由、18条: 言語の自由、19条: 無償で義務教育を受ける権利、20条: 学問の自由、21条: 芸術の自由、22条: 集会の自由、23条: 結社の自由、24条: 居住移転及び出入国の自由、25条: 国外追放・強制送還及び引渡しからの保護、26条: 財産権、27条: 国家からの自由、28条: 団結権、29条: 一般的な手続の保障、29a条: 裁判を受ける権利、30条: 法的手続の保障、31条: 不当な身体拘束の禁止、32条: 刑事訴訟手続、33条: 請願権、34条: 政治的権利の保障、37条: 市民権、38条: 市民権の取得及び喪失、39条: 政治的権利の行使、40条: 在外スイス人の権利[132]
連邦憲法のいかなる改正も、140条に基づく強制的国民投票(独: Obligatorisches Referendum)の対象である[133]。「強制的」とは、国民に投票を強いるということではなく、国民投票という手続きを必ず経なければならないという意味である。142条は、この手続きの詳細を規定し、国民及び州の過半数(賛成多数)を可決の要件としている[133]。州の過半数とは、26州のうち20州を各1州、6つの準州(半州)を各0.5州と数え、23.0州のうち過半数(賛成多数)の州が12.0州以上となることをいう。一票の格差ではなく州票の格差をなくすことで州の平等や連帯を尊重し、二重の過半数を可決の要件とすることで番狂わせによる政治の不安定化を防いでいる[134]。改正が困難な硬性憲法の一つとされているが[135]、2000年の全面改正以降、36回部分改正されている。直近では2024年3月3日に憲法197条が改正され、老齢・遺族年金(AHV)の受給者は、2026年から、年額の12分の1に相当する増額(13か月目の年金)を受ける権利を有するようになった。[136]。

スイスには26の州と、2,110の基礎自治体がある。26州のうち6州は準州である。全州議会の議員定数配分は、州が各2人なのに対し、準州は各1人となっている。かつては3州だったがそれぞれ分裂したためで、州と準州の主権に違いはない。
2025年、第2次トランプ政権は、貿易赤字を理由に各国に相互関税を課す方針を打ち出した。スイス当局は、アメリカとの間で貿易枠組み協定を取りまとめを進めたが、アメリカは年間400億ドルの対米黒字を記録するスイスに対し、これを解消する措置を要求。最終的には同年8月1日までにEU各国の20%よりも高率の39%の関税が課せられることが決まった[137][138]。その後、貿易合意により、関税は15%に引き下げられた。

スイスにおける国防の基本戦略は、拒否的抑止力である。すなわち敵国にとって、スイスを侵略・占領することによって得られる利益よりも、軍民の抵抗や国際社会からの非難・制裁によって生じる損失の方が大きくなる状況を作り出すことによって、紛争を未然に防ぐ戦略である。2002年の国連加盟後も、この基本戦略は変わっていない。
現代におけるスイスは、国軍として約4,000名の職業軍人と約21万名の予備役から構成されるスイス軍を有し、有事の際は焦土作戦も辞さない毅然とした国家意思を表明しながら、永世中立を堅持してきた、平和・重武装中立国家として知られる。また、スイスは国際連合平和維持活動(PKO)への参加に積極的で、国外に武装したスイス軍部隊を派兵しているが、決して武力行使をせず、人道支援に徹している。
多数の成人男子が、予備役もしくは民間防衛隊(民兵)として有事に備えている。平和国家であるスイスではあるが、スイス傭兵の精強さは、ヨーロッパの歴史上、殊に有名である。現在でも、軍事基地が岩山をくり抜いた地下に建設されるなど、高度に要塞化されており、国境地帯の橋やトンネルといったインフラストラクチャには、有事の際速やかに国境を封鎖する必要が生じた場合に焦土作戦を行うため、破壊用の爆薬を差し込む準備が整っている。
仮に、国境の封鎖に失敗して外国の侵略を受けても、主要な一般道路には戦車の侵入を阻止するための障害物や、トーチカが常設してある。東西冷戦の名残で、2006年までは、家を建てる際には防空壕(核シェルター)の設置が義務づけられていた[209][210]。その数・収容率と強固な構造は、他国の防空壕と比べても群を抜いている。古い防空壕は、地下倉庫や商店などとしても利用されている。
第二次世界大戦中のスイス空軍は、1907年のハーグ陸戦条約で定められた国際法上の「中立義務」を果たすため、領空侵犯する航空機があれば連合国側・枢軸国側を問わず迎撃した。ちなみに、当時のスイス軍の航空機は、一部の国産機を除いてはフランスとドイツの戦闘機を輸入、またはライセンス生産したものだった。
当時、仮に外国の軍隊がスイスを侵略しスイスの存立が絶望的となる最終局面に陥った場合は、外国の軍隊がスイスのインフラを強奪する寸前のところで放火や爆破などの焦土作戦を実施し、侵略者に一切の戦利品を与えないように計画していた。その一方で、当時のスイス政府は柔軟な姿勢で外交と通商を展開した。第二次世界大戦においては、「資源を持たないスイスが、資源を持つ国と通商することは生存権の行使であって、中立義務に違反するものではない」と主張して、国民の生活を守るために必要な資源や武器を枢軸国・連合国双方から輸入し、国益を確保した。

スイスは陸軍と空軍を有するが、他国を攻撃しうる戦力投射能力は有しない。陸軍は船舶部隊(水軍・海軍とも呼ばれる)を有する。船舶部隊は、おもに国境をなすレマン湖(ジュネーヴ湖)、国際河川のライン川、コンスタンス湖(ボーデン湖)に配置されている。特に、フランスとの国境にあるバーゼルは別名スイス港とも呼ばれ、石油などを積んだ排水量3,000トン未満の船が、オランダのアムステルダム港から、ドイツとフランスを経由してライン川を遡行してくる。バーゼルは、内陸国であるスイスが水運を通じて海とつながる唯一の貿易港となっている。20隻の哨戒艇が主力である船舶部隊は、有事の際にはライン川を遡行する商船を臨検、徴用することとなる。
冷戦の一時期、スイスは自立能力を高める為に兵器の国産化に取り組んだ。かつては戦車や航空機も国産していたが、開発費用の高騰と技術的課題のため断念した。エリコンといったスイスを代表するメーカーは、かつては防衛産業を担っていたが、現在では軍事に関与しない企業に生まれ変わっている。一方で、小火器や装甲車は依然として高い国際競争力を持ち、世界中に輸出されている。銃器メーカーであるシグの製品は日本にも輸出され、警察等の法執行機関や自衛隊で採用されており、ピラーニャ装甲車などの兵器は、アメリカ軍の採用を勝ち取ったことで有名である。

スイスでは国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用している。20歳から30歳の男性に兵役義務があり、女性は任意である。スイス人男性の大多数は予備役軍人であるため、各家庭に自動小銃が貸与され、予備役の立場を離れるまで各自で保管している。かつては冷戦下の厳しい国際情勢に即応するため、包装された弾薬と手榴弾が貸与され、悪用防止の封印を施した容器に入れて各自が保管していた時期もあった[211]。
対戦車兵器や迫撃砲など、より大型の武器は、地区単位で設置されている武器庫に収められ、厳重に管理されている。これらの支給火器が犯罪に用いられることはごくまれであったが、2007年9月から予備役に貸与されていた弾薬は回収され、スイス軍が集中管理するようになった。現在、予備役の立場にある国民は、自動小銃は持っていても弾薬は持っていない。有事の際は、動員令を受けた予備役に対して速やかに弾薬が貸与される事になっている。
銃が手軽に手に入る社会であるため、スイスでは自殺にも銃を用いる傾向がある。自殺者の24%から28%が銃を用いており、その割合はアメリカ合衆国に次ぐ世界2位で、ヨーロッパの中では最高である。また男性が銃による自殺を選択する傾向があり、銃による自殺者の95%は男性である[212]。しかし、「世界平和度指数」の軽火器へのアクセスしやすさによると、スイスは5段階評価で2点で、台湾やドイツと同レベルであり、スイスはアメリカのように弾薬が簡単に手に入る社会ではないことがうかがえる[213]。
政府によってスイスの一般家庭に「民間防衛(Defence Civile)」という本が配布されている。他国に占領された場合のゲリラ活動の仕方など事細かく書かれ、有事に備えている[214]。

| 民族構成(スイス) | ||||
|---|---|---|---|---|
| スイス人 |
|
72.3% | ||
| その他 |
|
27.7% | ||
現在のドイツ語圏は5世紀にローマ人が撤退したあと、北からやってきたゲルマン系アレマン人が支配した地域であり[215]、ヘルウェティイ族などのケルト系先住民と混血した。フランス語圏は同時期のゲルマン系ブルグント人の支配地域で[215]ヘルヴェティア共和国以降の19世紀にフランス語化したものであり、イタリア語圏はゲルマン系ランゴバルド人、ロマンシュ語圏はケルト系ラエティア人の地域の名残とも考えられる[215]。その後、現在のスイス全土はゲルマン系のフランク王国や神聖ローマ帝国に支配されたため、ラテン化されたケルト人にゲルマン系が加わった流れはほぼ共通する。いずれにせよ混成民族であることはすべての欧州国家の例にもれない。
外国人の定住者ないし短期労働者は全人口の2割に及び、2007年には145万人に達した。欧州内の移民が多く、もっとも多いのはイタリア29万5,507人、次にドイツ22万4,324人となっているが、特に旧ユーゴスラビア諸国出身者は非常に多く、35万人前後にもなる(セルビア・モンテネグロ19万6,078人、北マケドニア6万509人、ボスニア4万1,654人、クロアチア3万8,144人)。また、中東からはトルコ人も7万5,382人と多い。
2025年10月現在のスイスにおける在留邦人(在外日本人)数は12,297人で世界18位、ヨーロッパでは、イギリス、ドイツ、フランスに次いで4位である[216]。
2004年には、3万5,700人がスイス国籍を取得した。その半数以上が旧ユーゴスラビア諸国出身者である。スイスは世界中から多くの難民を受け入れている。移民は通常、ストレスのために健康を比較的に害するが、2013年の学術誌『PLoS ONE』によると、スイスに住むポルトガル系移民の心血管疾患はポルトガル在住者と変わらない[217]。しかし移民に対する反発は根強くあり、2014年6月には国民党が提案した「大量移民反対イニシアチブ」によって4か月を超えてスイスに滞在する外国人には人数制限を行う方針となった[218]。
2020年に流行した新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アジア人が差別的言動を受ける例も報告されている[219]。
2022年、スイスはできるだけ迅速かつ効率的に庇護を受け入れるため、庇護申請に対する回答期間を当初の400日から140日に短縮した。その結果、中国などからの亡命希望者は大きな恩恵を受けている。2022年2月の時点で、スイスは他のヨーロッパ諸国よりもはるかに多くの難民を受け入れている。亡命希望者が第三国に住んでいる場合、ダブリンルールによりスイスで庇護を受けることができなくなるため、スイスで直接庇護を求めるべきである[220]。

- 紫 フランス語
- 黄 ドイツ語(アレマン語)
- 緑 イタリア語
- 赤 ロマンシュ語
スイスでは、各地方の地理的・歴史的な理由から使用言語が分かれているためドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つを公用語と定めている。これに合わせ、スイスの公共放送・SRG SSR(スイス放送協会)も、4つの公用語を使用して放送している。
北部と中部ではおもにドイツ語が使われている(全人口の64%、右図の黄色)。その多くはアレマン語系のスイスドイツ語と呼ばれる方言であるが、新聞やテレビ、ラジオのニュース番組ではドイツの標準語である高地ドイツ語が使われる。ただし地方の放送局ではニュース以外の一般番組もほとんどスイスドイツ語で、全国放送でもテレビの天気予報だけはスイスドイツ語である。
西部ではフランス語が(20%、紫色)、南部ではイタリア語が(6%、緑色)使われている。スイス・フランス語は標準フランスとほとんど変わりはないが、数の数え方に若干特徴がある(数字の70、80、90をフランスのsoixante-dix、quatre-vingt、quatre-vingt-dixではなくseptante、huitante、nonanteと言う)。イタリア語はロンバルド語の系統に属する西ロンバルド語が混じる。ティチーノ州で使われるロンバルド語系イタリア語はティチーノ語とも呼ばれる。
ロマンシュ語は、南東部にあるグラウビュンデン州のごく一部の人々の間で使われているだけであり、いまだ絶滅の危機にある(0.5%、赤色 - 面積は広いが人口は少ない)。ドイツ語圏以外のスイスでは、ドイツ語を学習する場合、普通標準ドイツ語を学ぶため、かなり差異のあるスイスドイツ語の理解がスムーズにできないことがある。したがって、ドイツ語圏スイス人と非ドイツ語圏スイス人の間で会話する時、ドイツ語圏のスイス人は標準ドイツ語を理解できるものの、会話の上では障害となることが多く、公用語であるフランス語のほかに英語を用いることも多くなっている。学校教育において英語を必修科目とし、母語以外の公用語を選択科目とする学校が増えていることも、若年層における英語の使用に拍車をかけている。
市民の生活満足度は高く、国連世界幸福度報告では第2位(2016年)、OECDの人生満足度(Life Satisfaction)ではデンマーク、アイスランドに次いで第3位、世界幸福地図では世界178か国で第2位(2006年)であった。
アメリカ誌の「USニュース&ワールド・リポート」が発表した世界最高の国ランキングに、スイスは第1位(2020年)に選ばれた[224]。
スイスでは、国際基準による高水準の動物福祉政策ならび保護政策を行なっている。
スイスでは他者の人権の受け入れ、汚職の少なさ、情報の自由な流れ、良好なビジネス環境、高いレベルの人的資本、資源の公平な配分、十分に機能する政府、および近隣諸国との良好な関係によって決まる2023年の「積極的平和指数」で世界第4位を獲得した[230][231]。
スイスの税関は2018年に、日本の大規模な同人誌即売会であるコミケから戻ってきたファンによって家に送られた漫画を没収した[232]。スイス刑法第197条により、図面や仮想描写などの純粋に架空の形式の非実在児童ポルノはスイスでは違法である。この法律には、コミック(マンガ)やその他の仮想バージョンでの児童ポルノの描写も罰せられる。刑法第197条は、「未成年者との非実際的な性行為」の描写も罰せられると明確に述べている。この背後にある考え方は、児童ポルノの消費が模倣行為につながる可能性があるため、未成年者が「本物」であるか「唯一」の仮想であるかは関係ない[233]。しかし、スイスは多くの欧米諸国と比較して、非実在児童ポルノに対してそれほど厳しくはない。カナダとイギリスはどちらも、未成年のキャラクターが登場する非実在児童ポルノを所持している人々を刑務所に入れている[232]。一方、フィンランド[234]、ドイツ[235]、オランダ[236]、スウェーデン[237]、デンマーク[238]などの欧州諸国では、実写風でない非実在児童ポルノは合法とされている。
婚姻時、2013年以前は夫の氏が優先であった。正当な利益があれば、妻の氏を称することもできた(同氏)。自己の氏を前置することもできる[239]とされていたが、2013年以降、婚前に特に手続きしないかぎり原則として婚前の氏を保持すると変更され、完全な選択的夫婦別姓が実現された。配偶者の氏に変更するためにはそのように婚姻前に手続きを行わなければならない[240]。2022年7月1日から同性結婚が可能となった。
スイスの治安は比較的良好であるといわれているが、スイスの犯罪統計によれば、2019年の犯罪件数(麻薬法・入国管理法違反を除く)は43万2,000件(前年比±0%)(多い順に、チューリッヒ州:91,174件、ベルン州:53,942件、ジュネーブ州:47,499件、ヴォー州:45,805件)となっている。内訳は、財産犯罪(窃盗・車両盗難・強盗・詐欺・恐喝など)が286,207件で約66%を占めるほか、殺人:46件、傷害:8,347件、脅迫:10,834件、性犯罪:8,189件などが挙げられる。また麻薬法違反:75,757件(-0.7%)、入国管理法違反:37,024件(-3.6%)とされている。
観光が盛んなことから観光客を狙った犯罪が多い。特にチューリッヒ、ルツェルン、バーゼル、ジュネーブ及びベルンといった都市部において、ホテルのロビー及びレストランでの置き引き、公共交通機関内でのスリ、空港でのクレジットカード詐欺被害が報告されている[241]。
ベースとなっている車両はトヨタ・ランドクルーザーである
スイス連邦政府は一般的な法執行機関を持っておらず、国内の法執行機関の調整は州の警察司令部の委員会によって行なわれている。
2023年現在、26の州警察機関と多数の地方警察機関が、同国の法執行機関を支えている。
スイスには 124の拘留施設が存在し、施設の全てが州によって運営されている。収容人数は最大 6,736人。

国内における言語の違いと文化的多様性が、スイスにおける映画史を形づくっている。ドキュメンタリー映画、アートフィルムや実験映画、そして大衆的な商業映画が存在し、作品群についても作家たちについても、情報源の多様さより以上の多様性が存在している。
スイスには700を超える様々な伝統衣装が存在する。特に女性の衣装は、地域毎に異なることがよくあるといわれている[注釈 1]。
法定祝祭日は以下の通りとなっている。
| 日付 | 日本語表記 | 独語表記 | 仏語表記 | 英語表記 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月1日 | 元日 | Neujahrstag | Jour de l'An | New Year's Day | |
| 聖金曜日 | Karfreitag | Vendredi Saint | Good Friday | 移動祝祭日。復活祭の前々日。 | |
| 復活祭 | Ostern | Pâques | Easter | 移動祝祭日。春分後の最初の満月の次の日曜。 | |
| 復活祭月曜日 | Osternmontag | Lundi de Pâques | Easter Monday | 移動祝祭日。 | |
| キリスト昇天祭 | Auffahrt | Ascension | Ascension | 移動祝祭日。復活祭から数えて40日目。 | |
| 聖霊降臨祭・五旬節 | Pfingsten | Pentecôte | Whit Suntide | 移動祝祭日。復活祭から数えて50日目。 | |
| 聖霊降臨祭月曜日 | Pfingstmontag | Lundi de Pentecôte | Whit Monday | 移動祝祭日。 | |
| 8月1日 | 建国記念日 | Bundesfeier | Fête de la Confédération | Confederation Day | |
| 12月25日 | クリスマス | Weihnachtstag | Noël | Christmas Day | |
| 12月26日 | ボクシング・デー | Stephanstag | Saint-Étienne | St. Stephen's Day |
このほか、地域ごとの祝日がある。
- ↑ スイス連邦憲法や法律によって首都と規定された都市は存在しない。連邦参事会と連邦議会の所在地であるベルンが事実上の首都と見なされている。
- ↑ https://www.bfs.admin.ch/bfs/de/home/statistiken/bevoelkerung.html
- ↑ https://www.bfs.admin.ch/bfs/de/home/statistiken/raum-umwelt.html
- ↑ https://www.aboutswitzerland.eda.admin.ch/ja/chiri
- ↑ “Bilanz der ständigen Wohnbevölkerung nach Bezirken und Gemeinden, 1991-2024”. Bundesamt für Statistik. 2026年2月22日閲覧。
- ↑ “Mittelland”. NCCS. 2026年2月22日閲覧。
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